一あるいはいかにして少年は難しい顔をするようになったか一
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三ノ宮ナイト
三ノ宮に着いたのはもう日も暮れて薄闇が街を包みこんでしまった頃だった。ひとの流れと交通量が多く、都会的に混みあった建物と車のネオンが疎ましく見える。しかし視界に映るあらゆる情景はどういうわけかぼくの気分を高揚させた。再び神戸に戻ってきたのだ。

予約しておいたシティ・ホテルは駅から歩いて15分ほどですぐに見つけることができた。チェック・インを済ませたあと部屋を確認して(格安なだけあって十分な部屋だとは思えないが)、シャワーを浴びてから一息つくと夕食がてらに周囲を散策してみることにする。ホテルは観光スポットでもある北野の近くにあって、すこし歩くと行き着く北野坂やハンター坂、トアロードといったあたりの路地には洒落た雰囲気のバーやカフェが軒を揃えて立ち並んでいる。店内でジャズのライヴを行うレストランも多く、神戸のジャズ文化の深さと身近さに感心した。できることなら肌で体感したかったけれど、ひとりで入るにはちょっと敷居が高く残念ながら思いとどまってしまう。

結局、歩き回った挙げ句にホテルの近くに戻ってきてしまった。腹は空いているのだけれど丁度良い具合の店が見つからない。優柔不断なのは性格だから仕方がない。などと思っているとすぐ裏の通りに小さいけれど雰囲気のあるバー&レストランが目について、値段も悪くなさそうだったのでそのまま入ってみることにした。なかにはこざっぱりとしたカウンターがあり、外からは見えなかったが奥にはいくつかのテーブルがあるようだった。数人の女性が笑い声をまじえて語り合っている。照明は暗い。

店員はあまり決まりすぎていない30歳前後のマスターと、調理場で料理をつくっている職人肌のシェフの二人。ぼくはまずハイネケンを頼み(わけもなくハイネケンという気がした)、サラダとパスタをシェフのおまかせで適当に作ってもらうことにする。シェフみずから運んできてくれる料理は上品すぎない程度の気品があって好感のもてるものだった。そしてハイネケンを一本飲み終えてしまうとジャック・ダニエルのロックをマスターに頼む。

「ついさっきは女の子が来たんですよ」とマスターは言った。「ちょうど君と同じくらいの歳でね、一人旅をしているんだとか」

マスターは本をよく読むようで、村上春樹の話題で盛り上がった。神戸といえばやはり村上春樹だ。話の流れでカウンターの後ろにあるレコードの山からマイルス・デイヴィスの『Workin'』を取り出してプレイヤーの上に載せた。ぼくがなにか面白いカクテルはないかと訊くと、ホワイトペニーというマンハッタンにすこし甘さを足したような、すっきりとした飲み口のカクテルを出してくれた。全部でだいたい3000円くらいだったと思う。思ったよりは安くあがっていた。

ホテルに戻る途中、コンビニに寄ってスミノフとナッツを買った。すこし飲み足りないような気がしたし、どうせなら酔いの醒めないうちに眠りたい。

| 西日本旅情編 | 16:25 | comments(0) | trackbacks(0) |
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