一あるいはいかにして少年は難しい顔をするようになったか一
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水いらず
評価:
サルトル
新潮社
¥ 620
(1984-01)
性の問題をはなはだ不気味な粘液的なものとして描いて、実存主義文学の出発点に位する表題作、スペイン内乱を舞台に実存哲学のいわゆる限界状況を捉えた『壁』、実存を真正面から眺めようとしない人々の悲喜劇をテーマにした『部屋』、犯罪による人間的条件の拒否を扱った『エロストラート』、無限の可能性を秘めて生れた人間の宿命を描いた『一指導者の幼年時代』を収録。

ノーベル文学賞に指名されるも辞退したサルトル先生。「いかなる人間でも生きながら神格化されるには値しない」のだそうです。んー、さすがですね。サルトルといえば実存主義の代表作家ですが、そもそもこのひとは哲学者なので、考えていることがまた理屈っぽくて難しい。

「それがあるところのものであり、あらぬところのものであらぬもの」という“即自存在”と、「それがあるところのものであらず、それがあらぬところのものであるもの」という“対自存在”。なんかもう謎かけみたいなんですけど、要するに、その場で目に見えるものは“即自”であり、見えないもの(過ぎ去ったもの、違う場所にあるもの)は“対自”である、ということですかね。つまり“対自”とは「無」の存在であると。違ってたら申し訳ないけども。

全体的に読むのがしんどい感じだったんですが、『壁』は普通におもしろかった。カミュの『異邦人』を思いだすような不条理さが感じられて、追い込まれた人間の心理描写もすごかったけど、「笑って笑って笑いこけた」のオチがよかったです。どの短編にもそれなりにおもしろさはあるんですが、興ざめさせずに最後まで読ませる力があったのは『壁』だけだったと思う。30ページくらいで短いですし。あとは唯一の中編『一指導者の幼年時代』が意外と興味深かった。デカルトの「我思う、ゆえに我あり」的な内容で、デカダンぽい雰囲気に魅力があります。

やっぱり小説としておもしろくなければ後世に残っていないはずなので、逆に言えば、過去の時代から残されている小説はすべてなんらかの価値があるはずなので、同時代の価値観と並行して読んでいかねば。多少しんどいけれど。
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