一あるいはいかにして少年は難しい顔をするようになったか一
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トゥールーズ=ロートレック
ロートレックはポスターを芸術の域にまで引き上げた美術史においても特筆的な画家である。大衆的であることを恐れず、しかも大衆に屈しない精神と、時代に密着しながら時代にとり込まれないだけのしたたかさを保ち続けることにより、効用性と商業主義というポスターの限界を超越したのだ。彼は卓越したデッサンと斬新な表現によって油彩画も数多く残しているが、彼の芸術活動の真髄はやはりその完璧な構図によるポスター、あるいはリトグラフ(版画)のなかに見られるだろう。

フランスの名家に生まれたロートレックは幼年期に両足を骨折したのがもとで下半身が十分に発育せず、そのため貴族の社交行事である乗馬やダンスに参加できなかった。まわりの気遣いもかえってコンプレックスとして意識下に根付いてしまった結果、彼は上流社会から逃げるようにして自らの居場所をパリの裏通りの酒場に求めた。

酒場の人間たちは(当時まだ差別的な扱いをされていた)身体障害者のロートレックに酒を勧め、友好的に接した。長らく孤独だった彼は何の肩書きも必要としない夜の世界に共感し、そうして彼はモンマルトル界隈を自らのアトリエとして、娼婦や踊り子といったキャバレーの人間たちを描いていった。

ポスターに描かれた女性の多くは戯画的で、実物よりも醜かった。耐えかねて抗議文を送った女性までいるほどだ。しかし彼は深い愛情をもって彼女たちを描いていたし、常に美しいとは限らないが、おそらく一見したよりはるかに真実に近い人間をそこに発見していた。

「醜さの中に美を見ること、それは刺激的だ」

晩年、ロートレックはその退廃的な生活がたたり、アルコール中毒にかかって死んだ。37歳だった。余談ではあるが、ロートレックは生前たった一枚しか売れなかったファン・ゴッホの作品を誰よりも理解し支持していた。
| 美術 | 22:07 | comments(0) | trackbacks(0) |
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